ハイマツ帯

たまに更新できればいいな

山上の赤トンボ

 近所の大学で学祭が始まったようである。実際に行って確かめたわけではないが、町がなんとなくそんな雰囲気となっているのを感じる。

 

 健全な大学生にとって学祭期間というのは数日間の秋休みであり、山に行く絶好のチャンスであると言える。

 私のいた某部では、私が一回生の時に七回生の先輩が「俺は一度も学祭に行ったことが無い」と豪語しており、無論うら若き純情な後輩達もそれに従い、学祭期間は沢で水と戯れたり藪を漕いで緑との一体感を感じたり緑の卓で時空の流れを学んだりするわけである。

 

 結局私は学生時代に、他の部の友人に誘われて一回だけ学祭を見に行った。某部においては学祭に積極的に参加しない者ばかりだった気がするが、これは山を優先したという理由の他に、人が多い場所にあえて背を向けて鄙びた気分を味わい、侘び寂びを感じたいという思いがあったからだろう(学祭期間中、山に行ってなくても学祭にも行かないのである)。

  また、実際、行ったところであの雰囲気(※)を好きにならなければ気まずいだけであり、捻くれた我々が行っても更に捻くれるだけの結果になる恐れがあったので、行かなくて良かったとも思われる(とは言えこれはろくに学祭に参加しておらず実情を全然理解していない者の戯事であり、的外れな意見である可能性が高いことは言うまでもない)。

 

※あの雰囲気・・・卒業式でコスプレをする、学祭のテーマをインターネットで流行りの文言にする、新入生の前で奇声を出して劇をする、自分を変人だと称す、この大学は変人ばかりだからな〜wと嬉しそうに話す、変人を積極的に称することがまず平凡であることに気付いていない、教授のくせに変人とか名乗る、教授のくせに授業であえて関西弁で喋る、日常会話にインターネット用語を盛り込む、森見登美彦の小説の登場人物みたいな喋り方をする、自分を森見登美彦の小説の登場人物だと考える、等(森見登美彦さんに恨みはなく、むしろ数冊の単行本を所有していることを付言しておきます)