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ハイマツ帯

たまに更新できればいいな

屋久島のこと

 学祭期間を利用して屋久島に行ってきた。なかなかきついものだったが、無事貫徹に成功した。

 10月のある日、後輩cedarが学祭期間に九州の沢に誘ってくださいと言いだした。この誘ってほしい理由も滅茶苦茶なものだったがここでは省略する。そこで、どうせ九州に行くなら屋久島のほうが良いだろう、それもS川なら結構ハードで良かろう。とごく軽い気持ちで言ったところ、なぜか奴は俄然乗り気になって本当に行くことになってしまった。同じく2回生のringも興味を示したので3人で行くことにした。

 日を追って簡単な記録を残しておこうと思う。

 

11/19(木)

 僕は前泊することにして、新幹線と高速船を乗り継いで夕方に屋久島上陸。3回目。焼き肉屋で定食を食べたが、ここには屋久島 comic placeという謎の同人誌が置いてあった。食当は僕なのでAコープで適当に買い出しをする。ぼろいビジネスホテルに泊まり、ここは2回目だが怪しい洋館のごとき雰囲気がありよい。ちょうどプレミア12の試合をしており、日本が勝ったら寝ようとしていたが3点差の9回表になぜか炎上して、4点とられたところで寝た。結局負けたらしい。

 

11/20(金)

 入山の日である。朝バスに乗りこんだら今朝屋久島に着いた2回生のcedarとringがいた。2人は昨日鹿児島に着いて一緒に観光していたらしい。河原で泥まみれになっている謎の写真を見せてもらった。

 タクシーに乗り入渓地点まで行くが、屋久島は基本的に海岸沿いに道がある。今回もほぼ海からの遡行で、はるか稜線まで詰め上がることになる。装備を身に着け気合いを入れてS川に入渓した。

 ところで沢登りというと一般的に夏のイメージがあると思うし、我々のように秋や冬に沢に行く人は少数派だと思う。が、寒いことも多いけど、秋や冬の沢も案外楽しいものである。まず山が爽やかである。夏だと各種の植物が生命を競いあっていかにもむさ苦しい光景が展開されたり虫が調子に乗って大量にぶんぶんしたりしていることも多いが、秋冬はもっと平和である。それから泳いだりしなければそんなに寒くないという事情がある。とは言え夜はかなり冷え込むこともあるけど、そのぶん沢沿いの焚火の気持ち良さは格別である。薪を大量に集めてきて火を豪快にあげて、スギの葉を投げ込むと花火みたいにパチパチ光って、ぬくぬくしながらいっぱい酒を飲んで人生のことを語り合ったりして、ふと空を見上げると、ものみないこえるしじまの中にきれめきゆれつつ星座がめぐったりして、ついロマンチックな想像をして横を見るとなぜかむさ苦しい男がいてがっかりするのである。適当に酔っぱらうとテントに戻って着られるだけの服を着こんで、それでも寒くてガスヘッドをストーブ代わりにしたり(本当はだめな使い方である)ウイスキーを飲んだりしてあったまって寝る。翌朝はめっちゃ寒いこともあるが鼻を通る冷気が気持ち良い。下山後の温泉も楽しい。

 というわけだが、今回はかなり気温が高くそんなに寒く無かった。背中に海が見えるのが楽しい。どんどん滝が出てくるが巻いて越えていく。ちなみに巻きとは横の斜面を登ることで、滝を直接登るのが難しい場合に行う。今回の遡行は大巻きが多く、適切なルートを選べるかが攻略のポイントだった。ゴルジュの巻きに成功して大滝に到着。増水していたこともあってすさまじい水量、迫力だった。虹が美しい。左から巻くがなかなかルーファイに神経をとがらせる必要があった。

 16時くらいに適当なところでテントを張る。夕食はカレー(ウインナーまみれ)。元はポトフの予定だったがなんとなく気が変わった。その後みんなで酒などをだして宴会するが、なぜかS原が取りだしたのは瓶入りのワインである。普通ペッドボトルに移し替えるところだが雰囲気を大事にしたのだろうか。さらにインドの青鬼(ビール)も出てきた。ちなみに僕が持っていったのは三岳と和歌山土産の梅酒。22時くらいまで飲み続けていた。

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11/21(土)

 朝食はワカメラーメン。軽いから。出発してすぐゴルジュで巻く。結論を言うとこの日はひたすら巻きだった。しかも藪の密度がどんどん濃くなっていく。さらにトゲトゲの植物が三種類くらいあって触れると痛い。とにかくしんどいという思いが強くなり、みんなフラストレーションが溜まっていった。そして体のあちこちに傷ができていった。

 この沢の特徴だが、滝は多いがどれも直登不可能なものや泳ぎを要するものばかりである。なかなか沢に降りられない。

 昨日からずっとcedarにTopを任せていたが相当きつかったようで、最後の大巻きを終えた時には藪にキレておりここらへんの植物を全部燃やしましょうとしきりに主張していた。世界自然遺産なので多分燃やさないほうが良い。疲れ果てつつようやく平和になった沢を進み、15時くらいに適当なところでテン張った。湿った場所。この日の夕食はマーボー春雨。軽いから。みんなここまでで疲れていたのか異様にテンションが低く、酒もあまり進まなかった。しかし黒ビールが出てきておいしかった。明日は一気に下山地点の近くまで進もうとみんなで確認して寝た。

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11/22(日)

 2時半ころ目覚めると雨が降っていた。上流部に来ているとは言え未だに水量は多く、一応増水を警戒しておいた。暇だったので音楽を聞く。屋久島に来る前にさだまさしのCDをウォークマンに入れたので聞いてたが、案山子とか聞いてると研究も放棄してこんな南の島で山を彷徨していることが両親に申し訳無くて仕方なくなった。

 朝食はまたワカメラーメン。軽いから……。6時半にまだ暗いなか出発する。上流部は昨日までと違い大巻きも無く楽なものである。稜線まで残り150mくらいのところで一回レストして、これならあと30分くらいで稜線にたどりつくだろうと話し合う。が、ここからの行程はと言うとひたすら藪と倒木の嵐であった。この日までに足の指がどうにも痛くなっていたのだが、ここでぶつけまくっていよいよ痛くなってきた。爪が崩壊しているのだろう。

 藪にみんなギャアギャア言いながら、10時過ぎについに稜線上に着いた。ここからは登山道があるが、前の2回生たちは心がすっかり荒んでおり、もっとまともな道作れやとかまじめにやれやとか暴言を吐いていた。永田岳に着く。本当はここから今まで自分たちが来た行程を振り返りたかったのだが、すっかりガスに包まれておりなにも見えなかった。さらにここからの降りでなぜか道を外し、笹藪の海を40分ほどさまようことになりきつかった。

 そこからはひたすら縦走路である。ガスで大した景色も無い。本当はここらへんからの景色はすばらしく、晴れていれば四方に海まで見渡せるのだが……。途中から疲れすぎて頭がふらふらして目まいがした。根性だけで歩き続け、雨が降り出し、ライトをつけ、18時前についに下山地点の小屋にたどりついた。

 最後の夜ということでみんなで秘密兵器を全部出し、色々飲みつつだらだらした。夕食はまたマーボー春雨。軽いから……。ところでこの日の朝、車のブレーキが効かなくなりやむを得ず暴走運転するはめになるという夢を見たのだが、このブレーキが効かなくなる夢というのはたまに見る夢である。という話をしたのだが、cedarはこの朝に巻きの最中に僕やplane先輩から「お前の巻きルートはおかしい」と叱られまくる夢を見たらしい。かわいそうに。あんまり登場しないringだが、今の部で一番しっかりしてる奴だと思う。将来の爽やかメンを引っ張ってほしい。

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11/23(月)

 下山日だ! 朝食はワカメラーメン。もうええわ……。あんまり同じメニューばかり続くと、1回生の場合にはお前なにを考えてるんだ山をなめてるのかまじめにやれやなめとんかと怖いお兄さんたちに怒られるのだが、さすがに院生ともなるとあんまり怒られない(スマソ!)。

 せっかくなので小屋の近くのきれいな沢を遡行するが、異常に水温が低いし雨が降ってるので敗退した。小屋を出発して少し歩くと下山口。やっと貫徹、長かった、嬉しかった。嬉しくて変な記念写真を撮ったりした。楽しかった。改めて自分の服装を見てみると異常なまでに汚れており、特に18日の夜から着続けていた白いポロシャツは妖しく変色していてもう下界では使えないことを確信させた。そして久々に靴下を脱いだら爪が二枚はがれていた。その他、体の傷は数え切れずあったがそれはそれでなんとなく勲章のような気がした。体も服もザックもなにもかもが臭かったと思う。

 ところで月曜日は学祭の最終日だった。僕に関して言うと学祭には本当にほとんど無縁だった(去年色々あってついに一度行ったが)。学祭は長期休みが確保できて山に行けるというのもあるけど、もうひとつ当部において学祭に対する偏見があるのも否定できないと思われる。特に僕が入った頃は男子校の臭いが強かったのもあり、学祭に行くようでは学生として三流、あんな淫猥な空気に触れていては頭がおかしくなってしまうというような風潮があった気がする。実際に9年学部にいた某先輩は一度も学祭に出ていないのが自慢だった。ただ、僕が屋久島に行ってる間に京都にいらした方もいたようで、会えなかったのが残念ではあった。閑話休題

 下界に降りて定食屋で食事。マーボー春雨よりワカメラーメンよりはるかにおいしかった。ポンカンを3つもらう。スーパーや港で時間を潰し民宿にチェックインした。念願のシャワーで臭すぎる体を洗い、臭すぎる服を着替えた。打ち上げは19日と同じ焼肉屋で。大変おいしかった。屋久島 comic placeも買った。この同人誌は屋久島在住の人が集まって描いたもので、なんというかこんなアニメショップもなにも無い島でも好きな人がいっぱいいて絵を描いてるんだなと思うと、なんとなく嬉しかった。宿に戻ってNHKを観ながらまただらだら飲む。種子島のロケットの話題で盛り上がったり、薔薇王子の話題をやっていたのでうちの部の薔薇王子は誰か決めたり、カツオの一本釣りも大変じゃのうとか語ったりしながら、やがて寝た。乾いていて温かく、臭くも無い布団が最高に気持ち良かった。でも枕元のザックが臭かった。

 

 翌朝partyは解散し、各自帰路についた。

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